作品名 |
作者名 |
カップリング |
「雨宿りでドッキリ」 |
72氏 |
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「はあ…まいったな、こりゃ。」
一向にやみそうもない雨を見て、シンジはぼやくようにつぶやいた。
高校と家との通学路の途中にある小さな雑貨店。その軒下で、帰宅途中のシンジは雨宿りをしていた。
「こんなことなら傘持ってくるんだったな。」
午後から雨が降るという予報を信じずに、傘を持ってこなかったことをいまさらながら後悔する。
雨が少し小降りになっている時に高校を出たものの、すぐに再び強くなってきた雨に耐えられず、
この軒下に避難することになってしまったのである。
再び空を仰ぎ見る。雨はまだまだやみそうにない。頼みの綱のカナミも
今日は用事があって帰りが遅くなるらしく、当てにはできそうもない。
(しばらくはここで雨宿りか…ん?)
人の気配。同じ軒下で、他にも雨宿りをしている人がいたことに、今まで気づかずにいたシンジ。
…どうやら女性のようだ。シンジは横をちらりと見る。
…こんな時でも胸から見てしまうのは、悲しい男の性か。
(この制服…うちの高校の制服か…
……え……?)
雨に濡れ、透けるブラウス。彼の親(?)友カズヤなら、
「ブラ透けバンザーイ!!!(エコー付)」と叫んでいるのであろうが。
しかし、よく見ると…
本来あるであろう場所にブラジャーがない。代わりにその下の肌、胸がそのまま透けていた。
(ま、まさか…ノーブラ!?)
事態に気づいたシンジは思わず目をそらす。
しかし、これまた悲しい男の性か。
そらしたはずのシンジの目は、すぐにまたその女生徒の身体に釘付けとなった。
改めてじっくりと見て、思わずゴクリと息を呑む。
(何でブラつけてないんだよ…しかも結構……)
魅惑的なその肢体。ぐっしょりと濡れたブラウスとスカートが
肌に貼り付き、肌の色が直に見えている所が余計にそそる。
そしてその豊満な胸。形の良いその乳房の先には、
少し黒ずんではいるが、これまたきれいな形をした乳首が……
……黒ずんで……?
(………ん!?)
ここまで来てようやく違和感に気づくシンジ。
恐る恐る顔を上げ、その女生徒の顔を見ると……
見慣れたメガネがニヤニヤと。
「何やってんすか、小宮山先生……」
「あ、ばれた?」
がっくりとうなだれるシンジ。
「どこから持ってきたんですか、その制服…」
「まあまあ、細かいことは気にしない、気にしない♪」
「じゃあなんでブラつけてないんすか」
「あら、ブラどころかパンツも穿いてないわよ。見る?」
「…正真正銘の変態か、アンタは」
またもうなだれるシンジ。
「そんなことより気づくのおせーよー、城島ー。
他の子はもっと早く私の正体に気づいて、逃げてったわよ?
舐めるみたいに私の身体ばっかり見て…
…そんなに私の身体魅力的だった?」
いくら放課後とはいえ、仕事もせず何やってんだアンタは。
あきれ果て、ツッコむ気力も失せるシンジ。
「…雨、どんどんひどくなってくるわね……
どうする、城島君?私に入ってく?」
「あ、傘持ってんですか?小宮山先生。」
「違うわよ……ワ・タ・シに。つまり私のナカに……ね♪」
小宮山がスカートのホックをはずし、舌舐めずりをした次の瞬間…
全てを悟ったシンジは、どしゃ降りの雨の中を全速力で逃げ出した。
「…意外と純情ね、城島君て。」
走り去るシンジを見て、小宮山はそうつぶやいた。
別に純情とかそういう問題ではないと思うのだが。
(…そうだ、あの子にも同じようなことやらせようかしら。
『男はノーブラノーパンで、雨にぐっしょり濡れた女が好きなのよ』って、ふふ)
新たなる悪巧みを思いつき、不敵に笑う小宮山であった。
(おしまい)