作品名 作者名 カップリング
「難読姓」 ペピトーン氏 -

七月三日月曜日

昼休みの小笠原高校にて−
一年生の教室内ではカナミ、アキ、マナカ、ショーコの四人が集まっておしゃべりをしている。
あるマンガ雑誌に目を通していたアキが言う。
「ねえ、四月一日と書いてワタヌキって読むらしいけど、本当にこんな苗字の人いるのかしら?」
「一応実在するみたいだけど…」
「ホント、珍しい名前よねえ」
などと話していると、マナカが、
「何でも昔は四月一日に袷(あわせ)の綿を抜いて単衣にしたことからそう読むようになったそうですよ」
「ほーっ、さすがは小説家志望、物知りねー」
一同が感心したように声を上げる。
すると、教室の前を通りかかり、その会話を聞いていた小宮山が中に加わる。
「じゃあ、八月一日と書いて何て読むかわかる?」
「えーっ、全然わかんない」
「正解はホズミ、って読むのよ」
「へぇーっ、それも変わった苗字ですねえ」
するとマナカが何かを思いついたように、
「じゃあ、七月二日と書いて何と読むか分かりますか?」
「え?」
一同はしばらく考えたが、誰一人見当がつかなかった。
「うーん、降参。で、正解は何?」



「正解はコミヤマです」
「え?何で?」
当然ながら一同は首をかしげる。マナカが説明する。
「今日は七月三日ですよね」
「うん」
「という事は七月二日は昨日の日付ですよね」
「うん、でも何でそれが?」
マナカは薄ら笑いを浮かべながら続ける。
「つまり賞味期限切れ、という意味です」
マナカが言い終えた瞬間、小宮山はマナカに襲いかかろうとしたが、
すでに教室内からはマナカの姿は消えていた。


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