作品名 作者名 カップリング
NoTitle ピンキリ氏 -

えーと、こんにちは……でいいんでしょうか。
…………えっと、ごめんなさい。こういうの初めてなのでちょっと戸惑ってます。
私の名前は岩瀬ショ…えっ?名前はNGなんですか?はい、わかりました。
歳はいいんですよね?はい、はい。えー、年齢は16歳、高校一年生です。
はい、今日はよろしくお願いします。

私、今付き合っている彼がいるんですけど、結構いい関係だと思います。
当然、セックスもよくします。はい、会う度にしてます。
はは、『若いのにヤリ過ぎじゃないか』って……そうですか?
アキちゃ―――っとと、友達にも時々そう言われることありますけど、
別に私は何とも……相手の人の事を本当に好きだったら、普通にするんじゃないですか?
えー、そのセックスの中身でしたよね、今日お話するのって。
はい、いろいろヤッてますよ。
先週は首輪を付けてワンワンプレイをやったし、
一昨日は公園のトイレで全裸放置プレイ、
昨日は下着付けずに散歩して痴女プレイ……。
え?そういうハードなのはダメなんですか?担当が違う?はぁ。
うーん、そう言われても、いつもこんな感じだし……。
あー、わかりました。ソフトなヤツですね。
と言っても、どれがソフトなプレイなんだろう?
あ、じゃあアレがいいかもしれない。
えーと、先月の話なんですけど……。

郊外にいい感じのラブホテルが建ったって聞いたんで、彼と行ったんです。
学校終わって、ご飯食べてからだから……夜の7時くらいですか。
結構混んでました。フフ、皆好きなんですね。って、私の話でしたね、ゴメンなさい。
いつもセックスする時は、事前にどんなプレイをするかって二人で決めておくんですけど、
この日はオーソドックスに『ご主人様とその奴隷』プレイをしようと。
それで、いろいろ器具が揃っている部屋にしようと思ったんですけど、
そーゆう部屋がありませんでした。ちょっと残念って感じでした。
でまぁ、器具を使ってのプレイはまた今度ということで、適当に部屋を選んで入りました。
あっ、はい、もうこの時点でプレイは始まっています。ええ、もちろん「ご主人様」って呼んでます。

それで、部屋に入るなり、彼―――っと、ご主人様ですね。
ご主人様が、私の肩をドンと突いてきました。
床にへたり込んだ私に、ご主人様が上から見下ろしてこう言いました。
「まずはキレイにしてもらおうか」って。
どこを?何て質問は出来ません。私、奴隷ですから、それくらいは言われなくてもわからなければならないんです。
私は跪いたまま、ご主人様のズボンのファスナーに手を伸ばしました。すると、
「手で開けるな。口で開けろ」と言われました。
ですから、私はご主人様の股間に顔を密着させ、唇でファスナーの位置を確認して、歯で挟むとゆっくりと下ろしました。
こういうのって、ゆっくりってのが結構ポイントなんですよね。何かドキドキするじゃないですか。しませんか?
ジジッとファスナーを下ろしきると、何かが私の額に当たりました。

ご主人様の、えー、コレはどう表現したら聞いてる人は喜ぶんですか?
ペニス……じゃなくて、チン○の方がいいんですか。
へぇ、露骨なんですね。えっ?ああ、消すんですか、声を。あの、ピーッとかいうやつですね。
ああ、はい。私もその方が恥ずかしくなくて……って、ここで喋る分には生声なんですね。あはは。
じゃあ、やっぱり女性のアレも……あ、やっぱり被るんですか、音が。
ふーん、結構メンドクサイんですね、雑誌の付録って。色々手間がかかるんだなぁ、勉強になっちゃった。
えーっと、とにかく、私の額に当たったのは、ご主人様のチン○でした。
まだトランクスの上からでも、十分固くなっているのがわかりました。
もう私は我慢出来なくなっていました。すぐにでも咥えたかったんですけど、
今はご主人様と奴隷ですから、お伺いを立てなければなりません。
で、「ご主人様、私はもう我慢出来ません。しゃぶらせてもらってもよろしいですか?」って聞きました。
すると、彼、じゃないや、ご主人様は、ニヤリと笑うと、
「いいだろう。しかし、あの台詞を言ってからでないと咥えてはダメだ」
あの台詞ってのは、えーっと、ベタなんですけど……。
「ご主人様、私は淫乱ではしたない奴隷です。その奴隷が今から御奉仕いたします」
って、あー、笑っちゃダメですよぅ。だからベタだって言ったじゃないですか。
で、私はご主人様のチン○を口に含むと、舐め上げたり啜ったりしました。
段々とチン○の固さが増してくるのがわかりました。
こーゆーのって嬉しいですよね。反応してくれてるって。

どれくらいしゃぶり続けたかはわかりません。でも、もうカチカチになっていました。
それで、不意に髪を掴まれて、引き剥がされました。で、
「服を脱げ……ゆっくりとな」と言われて、上から一枚一枚、ゆっくりと脱いでゆきました。
何か奇妙に感じてしまいますよね、これって。焦らしというか、視姦というか。
それで、靴下以外は全部脱ぎ去りました。え?何故靴下だけ残したのかって?
はぁ、彼、あ、ここは“彼”でいいですよね。えー、彼がその格好が好きなんです、としか答えようが無いんですけど。
何か全裸より燃えるらしいです。私はよくわからないですけど、彼が喜んでくれるので、まぁいいかな、と。
で、ご主人様―――ああややこしい、ご主人様が、ベッドにゴロリと横になりました。
そして、「とりあえずは一発抜いておこうか。さあ、上に乗るんだ」と。
ここらへんはもうご主人様というよりは、早くヤリたいただの男って気もしないでもないですけど、
私も欲しくなってきたし、それはほら、所謂ひとつのウオゴコロあればミズゴコロありってヤツですよ。え、違いますか。
とにかく、私はご主人様の上に跨りました。あ、もう私、十分になってました。
咥えてるうちにどんどん濡れてきちゃって……。はい、濡れやすいかって言われれば、そうだと思います。
それで、ゆっくりと腰を下ろしていきました。あっ、ここもゆっくりってのが肝心なところです。
ガーッといっちゃいたいんですけど、奴隷としての恥じらいみたいなものも出さなくちゃ、みたいな。
半分演技の半分本気、って部分も見せなくちゃならないわけで……難しいと言えば難しいですけど、
そこがまた感じると言うか、気持ちイイと言うか。
ここでのご主人様の台詞は、まあもう皆さんわかってると思うんですけど、
「動け」の一言です。
最初は遅いテンポで、ギシッ、ギシッって感じで動いて、段々とペースを上げていきます。
そして、自分で胸を揉みしだいたり、足をM字に開いて跨ったり、色々と変化をつけるのも忘れません。

そのまま二人してイッちゃうと、ちょっとマズいんで。
騎乗位だと外出ししにくいので、正常位に途中で体位を替えて、
ガガガッとスパートして、ウッ、と。この時は私の胸にかけてもらいました。
えー、私はイッてませんけど、一発目は大抵男の方が先ですから……ですよね?
それで、次にご主人様は私を乱暴にうつ伏せにさせると、今度は後ろから―――あ、二度目なんでコンドームは着けてます。
避妊に関しては自己責任ですから、気を使ってることは使ってますよ。
えっと、うつ伏せにさせられて、後ろから挿入されました。
「ほら、まだまだこんなんじゃ全然足りないだろ?トコトンまでヤッてやるよ!」
言ってみればここからが本番みたいなものです。私も奴隷っぽく、
「はい!犯して、犯し抜いてくださぁい、ご主人様ぁ!」って、
傍から見たらバカかもしれないですが、ノリですよね、ノリ。
で、腕を後ろから掴まれて、そのまま体を反らされて……。

え?何ですか?
あ、今回はここまでなんですか。中途半端ですねえ、今からイイトコなんだけどなぁ。
ああ、いえいえ、文句なんかじゃないんです、ゴメンなさい。
そちらの時間の都合じゃ仕方無いですよね。
えーっと、きちんと録れてます?大丈夫ですか?あー、良かった。
いや、こんなの初めてなんで、上手く喋れたかもうドキドキですよぉ。
はい、はい、来月号分はまた今度ということで。ええ、また連絡して下さい。
それじゃ、失礼しまーす。
お疲れ様でしたー。

「……拝読させてもらいました」
そう言ってマナカは原稿用紙から目を離した。
「最初の作品にしては、まずまずだと思います」
「ホント?嬉しいな」
ショーコの顔が綻ぶ。
マナカに影響され、ものは試しと彼女も官能小説に手を出してみたのだが、それなりの評価は貰えたようだ。
「『私、○○です』という書き方は、一時期流行りました。今ではオーソドックスなスタイルになっています」
マナカの解説は続く。
「実体験に照らし合わせてある以上、その書き方で問題は無いと思います」
「文章構成とか言葉の使い方はおいおい覚えていけば良いでしょう」
頷くショーコ。隣に居るカナミも熱心に聞いている。
「あと、強いて言うなら、話は途中でブツ切りにせず、まとまらなくても最後まで書き上げるほうが良いです」
「この作品でしたら、ホテルを出るところまでは書き上げた方が読む側に優しいと思います」
「会話文については、読み易さを一定優先させるべきです。無理に擬音を混ぜる必要もありませんし……」
マナカの官能小説講座は終わる気配を見せない。

そんな三人を横目に、紙パックの豆乳を啜りつつ、アキは深い溜め息をつく。
いくら放課後で、自分たち意外に誰も居ないとは言え、学校の教室でされるべき会話では無い。
だが、今は突っ込む気力も無いし、突っ込んだところで彼女らが行為を改めるとも思えない。
「はー……」
アキはもう一度溜め息をつくと、空になった紙パックを握り潰して、席に座ったままゴミ箱目掛けて放り投げた。
結構な距離があったにもかかわらず、紙パックはスーッと見事な放物線を描き、ゴミ箱に吸い込まれていった。
「おー……」
パチパチ、と拍手する。ストライク出来た自分に、三人の会話に耐えている自分に。
その拍手の音に、カナミが振り向いた。
「アキちゃんもショーコちゃんの小説、褒めてくれるの?」
ここは突っ込むところだ、とわかっている。突っ込むべきだ。突っ込まねばならない。突っ込め、突っ込むんだ。
アキは席から立つと、残された気力を振り絞り、口を開いた。
「そんなわけ、あるかーいっ!!!」

           F     I     N

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