作品名 |
作者名 |
カップリング |
No Title |
雷電氏 |
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色々な事が脳裏をよぎる
ミホの告白はどうなったのか
明らかにいつもと違った今岡
家の暗い部屋のベットに横たわり、カズヤは考える
「ミホちゃん…、今岡…」
「♪♪〜♪」
携帯が鳴り手を伸ばす
「シンジか」
一人家路につく時から何度もかかってきていた
「♪〜……」
一分程すると静かになる
シンジと話すのが怖い、知りたい事を知る事が
カズヤは携帯の電源を切り無造作に置いた
「知るのが怖いのは、今岡の言う通り諦めきれてないからだろうか?」
思った事を口にだす
次にまぶたが重なるとそのまま寝てしまっていた
目を覚ますと午後の1時だった
日曜とはいえここまで寝た自分に驚く
携帯を手に取り、電源を入れ問い合わせをする
「0件か…」
シンジからメールが来てない事にホッとするも寂しさを感じる
今日は予定も無く暇である
しかし暇だと昨日の事をずっと考えてしまう
「どっか…行こうかな」
そう呟き準備を進めていると昨日着ていた上着に目がいく
甘く良い香りがする
今岡の香水の匂いだろう
昨日何があったのか鮮明に思い出させる
「……」
カズヤはその上着から目をそらし違う上着をクローゼットからだして羽織った
家から出て目的もなく、とにかく歩いた
真っ直ぐ前を見つめ何も考えず
「新井君じゃない、何してるの?」
顔を声の方向けるとベンチに座る小宮山がいた
「日曜の昼間から一人で歩いて淋しい男ね」
「いや〜、先生に会いたくて歩いてたんすよ」
「まっ、嬉しいにゃ!!」
明らかなお世辞だが小宮山は喜ぶ
「加藤先生を待ってるんだけどまだ来ないのよ」
「仲いいっすね」
「暇だから話し相手がちょうど欲しかったのよ」
小宮山は自分の隣りの席を叩きながらカズヤを見る
「俺、暇では」
「化学の点数下げるわよ?」
「はい…」
カズヤは小宮山に奢って貰った缶コーヒーを持ちながら恋愛論を聞かされていた
「恋愛なんか個人のエゴなのよ!」
「へぇ」
「想いを無理矢理相手に押し付けるの!」
「はぁ」
「有無を言わさずとにかく攻める!」
「ほぅ」
「…優しさは罪って聞いた事ない?」
「あります」
「優しいって両極の意味があると思うの」
「……」
「優しさは本心を鈍らすわ」
「どう言う意味っすか?」
「相手に好きな人がいるから身を引くなんて愚かな事よ、優しさを言い訳にしてるだけ。それは罪よ」
小宮山の言葉にカズヤは驚くしかない
「知ってんすか?」
「何を?」
小宮山は静かにコーヒーに口をつける
「もう1つあったわ」
「何です?」
「鈍感な男よ…」
カズヤは頭の中でシンジが浮かぶ
「女の気持ちを読めない奴は最低よ」
「心はよめないですから」
「その通りね、でもそれも言い訳よ」
「……」
「好意を持っているのに気付いて貰えない、辛いでしょ?」
「辛い、と思います」
「あんたにもそういう相手がいるかもよ?」
「えっ?」
「あんたに恋をする物好きがね」
明らかに小宮山は全て知っている
カズヤは小宮山の言葉の深い意味を考えた
「私があんたに言える事はそれくらいね」
「……」
「どうしたの?」
「先生、イイ女っすね」
「今頃気付いたの?」
「言われてみりゃ昔からですね」
「化学の評価1段階UPね」
小宮山が笑いカズヤもつられて笑っていると
「小宮山先生!」
「あら、加藤先生。やっときたわね、んじゃ私は行くわね」
「先生、…有難うございます!」
「まっあんたの思う通りやりなさい」
そう言うと加藤先生の元に走って行き二人はカズヤの前から消えていった
「俺が本当にすべき事…」
カズヤは何かを決心する
誰の為でもなく自分の為に