作品名 |
作者名 |
カップリング |
「兄と妹と」 |
ライズ氏 |
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時間を持て余している昼、チャイムが鳴った。
「シンジ、良い物持ってきたから一緒に見ようぜ!」
いきなり家にやってきた訪問者は玄関を開けるなり恍惚な表情で俺を見ている。
「カズヤ、今度は何だ?またエレベーターガールシリーズとかアナル責めシリーズとかか?」
表情を見ただけで大体用件は解った。
「バカヤロウ!お前の為にすごいの借りてきたんだぞ。まっ家にあがらせてくれよ。」
そう言うとカズヤは有無を言わさずに勝手に入って行った。
「しょうがね〜な、付き合ってやるよ♪」
と言いながらも嬉しそうに部屋に足をすすめた。
部屋に入るなりカズヤは歌を口ずさみながらビデオデッキにビデオを入れた。
「で、今度はどんなやつなんだよ?カズヤがすごいって言うからには本当に凄いんだろうけど。」
するとカズヤはこっちを向いて
「ま〜、ま〜題名を見たら解るって。」
そう言うとニヤリと笑って顔をデッキの方に戻した。「では、再生しますか。シンジ、リモコンは?」
「テーブルの上にあるだろ。音量下げろよ!カナミは今はいないけど、いつ帰ってくるか解らないんだからな。」
「了解♪」
そう言うとカズヤはリモコンを手にし、音量を下げ、そして再生を押した。
再生を押した事を告げるかのように画面は暗くなる。そして明るくなると一緒に題名が現れた。
「近親相姦、兄と妹…、カズヤ!」
「落ち着けよ、驚くのも抜くのもまだ早いぜ」
そう言いながらカズヤは笑って画面を見ていた。シンジは嫌がらせの為に持ってきたのかと思ったが、カズヤの驚くのはまだ早いと言う言葉がどういう意味なのか解らないので黙って見ることにした。
画面はどこかの一軒家を映している。そしてカメラは中に入って行く。するとカメラに後ろ姿の女性が映しだされた、
「お兄ちゃん、お帰り。」そう言うと女性はこっちを向いた。
「…カナミ?」
画面に映しだされた女性は妹のカナミと間違えるほどうりふたつだった。
「驚いただろ?俺もビデオ屋で一つ一つ吟味してたら見つけたんだ。」
そしてずっと画面を見つめるとお兄ちゃんと呼ばれる人が現れた。
「これは、俺?」
「男優もシンジにうりふたつだよな。偶然とはいえすごいな。」
そう言ってニヤニヤしながら画面を見つめている。シンジも変な気分になりながらも画面を見つめた。
そして行為が初まった。シンジのそっくりさんの男と、カナミのそっくりさんの女がキスをし、そして男の手は女の胸に触れる。
男は女の服を脱がしながら愛おしい物を見るかのように見つめあい、胸に吸い込まれていった。
段々とエスカレートしていく行為に普通なら興奮して行くのだろうが、シンジにはまるで妹との行為を見ているようでなんとも表しようのない感じになっていった。
「ただいま〜!」
玄関から大きな、いつも聞いている声が聞こえてくる。
「カナミが帰って来た!カズヤ、早くビデオを停めろ!」
「あれっ?俺リモコンどこに置いたっけ。」
そんなやり取りをしている内に足音はシンジの部屋に近付き、ドアが開く。ビデオは停まらずに再生されていた。
「お兄ちゃん、オナニーばかりしてると味薄くなる……」
いつものように軽い下ネタを言いながら部屋に入ってきたカナミは吸い込まれるように画面にくぎづけになった。
「あっ、これはカズヤが持ってきたやつで、勝手に再生してたんだ、…カズヤ勝手に俺の部屋でエロビみるなよ!」
「…、悪い悪い、シンジが部屋にいないからやる事無いから勝手にエロビ見てた」
リモコンが見つからないのでシンジは急いでデッキの方で停止した。いつもならカナミが下ネタで場を和ますのだが、まったく口を開かない。誰の目から見ても明らかに空気が重い。
「あっシンジ、俺今岡にノート借りたままだから返しに行かないと、じゃカナミちゃんお邪魔しました」
そう言うとカズヤは逃げるように出て行った。俺も逃げたいという願望に襲われている時、カナミが口を開いた。
「んじゃお兄ちゃん今日のオカズは私でいい?」
シンジは困惑した。状態が状態なだけに、いつもの下ネタか、それともマジか。だが本気だといけないので。
「今日は俺が作るからカナミは休んでろ。」
と言ってシンジはキッチンに向かった。
シンジのいなくなった部屋の中で
「意気地無し」
とカナミは下を向いて呟いた。