作品名 作者名 カップリング
「影四つ 第三話 小さな頃から」 そら氏 -

城島カナミはベッドの上で寝そべりながら思案を張り巡らせていた。
「あの時・・・お兄ちゃんとマナカちゃん・・・きっと・・・」
あの時。それは前回の体育倉庫イベントの事である。マナカに抱きついてわんわん泣いていた彼女は
一つの違和感を感じていた。いや、抱きついたから違和感を感じた。と言ったほうが正しい。
カナミとマナカはかなり仲がいい。それは周知の通りだろう。お互いの使ってるシャンプーの香り。
ボディソープの香り。そして香水の香りも知っている。あの時カナミの嗅覚が感じ取った異質の香り。それは・・・
「やっぱり・・・あそこであの匂いを出せるのはお兄ちゃんだけだもん・・・それに・・・血も・・・」
カナミが記憶をめぐらせる。アキが指摘した体操マットにあった血痕。お兄ちゃんは鼻血って言ってたけど。
それもおかしな話。血はマットにしかなかった。暗闇で鼻を打ったなら、制服についててもおかしくないし・・・
名探偵カナミの推理は確信へ向かっていく。
「謎は全て解けた・・・」
同じ出版社だから使わせてね。ほら、今やってる金○一少年に氏家先生ってキャラいるし、オアイコね?
と一人で心の中で思うカナミ。
「やっぱり・・・エッチしちゃったんだろうなぁ・・・」
枕をギュッと抱きながら導き出した結論を思う。そういえばあの日以来マナカはどこか綺麗になった気がする。
それは『大人の女』になった事による影響なんだろうか。
「ん・・・マナカちゃん・・・ずるいよ・・・私だって・・・ずっとずっと・・・ずぅ〜〜っと・・・お兄ちゃんが・・・」
カナミのか細い指が下に下に下がっていき、ショーツの上で止まる。
「ん・・・はぁ・・・んんん〜・・・・」
カナミは自分の指でショーツ越しに自分の性器を刺激する。徐々に性器から溢れ出す液が
カナミのショーツに染みを作っていく。
「あぁ・・んぅ・・・おにい・・・ちゃぁ・・ン・・・ハン・・・」
スッとショーツをずらし自分の秘部に指を入れるカナミ。出し入れされる人差し指と中指は悩ましい
透明な液に濡れ淫らな動きをしている。カナミの指の動きに呼応してジュプ・・・ジュプ・・・と
液が溢れ出す。オナニーするのは初めてな訳ない。何せ思春期だ。興味は人より倍あったから。
自分とシンジを妄想してオナニーのネタにすることはいくらでもあった。ただ・・・今日のように他人のセックスを
ネタに・・・つまりマナカとシンジのセックスをネタにオナニーすることは初めてだった。
「はぁん・・・あん・・・男の人が・・・AV見ながら・・はぁん・・・するのってこんな・・・感じかな・・んん・・」
クチュクチュと音を立てながらカナミの指は一層激しさを増していく。
「ん・・・やだ・・あん・・・イッちゃう・・・ん・・・お兄ちゃん・・・お兄・・・ちゃん・・・ああぁ!!」
カナミは絶頂に達すると、さっきまで淫らに動いていた手で涙を隠すように顔を覆うとぽつりと言った。
「お兄ちゃん・・・好きなのに・・・なんで兄妹なんだろ・・・」



一方、シンジは部屋でただただぼけーっとしていた。先日のマナカとの初めてのセックス。
実際のところ成り行きと言うか、勢いと言うか。よく使われる言葉なら若さゆえの過ちか。
マナカの事は嫌いじゃない。むしろ好きなほうだと思う。それでもあの時は完全に流されていた。
「責任・・・誓い・・・かぁ・・・」
シンジは椅子に背中を預ける。椅子はシンジの体重を支えギシっと音をたてる。
あの日以来探し出した昔のアルバムのページをめくる。主に幼い頃の自分とカナミがメインに写されている。
その中にマナカも写っている写真は数枚あった。カナミにしてもマナカにしても、幼少期からそのまま大きく
なった感じだ。それもそうかもしれない。彼女たちはまだ16の少女なんだから。
「あった・・・これ・・・だな・・・」
写真の中の1枚に、カナミが神父のような格好をしてシンジとマナカがお互いの頬に手を当てている写真が
あった。やっぱり間違いなかったんだ。シンジにとってはお遊びと変わらなかったかもしれない誓い。
しかし、マナカという少女は純粋にこの誓いを今まで守り、そしてシンジに純潔を渡した。
「あーもう!俺は何やってんだ!?」
シンジが頭をガリガリとかきむしる。あの旅行以来全てが変わってきているのだ。
「お兄ちゃん・・・入っていいかな?」
ふと、シンジの部屋のドアがコンコンとノックされカナミの声が聞こえる。
「カナミ?ああ、入っていいぞ。」
シンジが許可するとカナミが入ってくる。様子がどうもおかしい。何と言うか、大人しい感じだ。
「えへへ。じゃあ、お邪魔します。」
パタンとドアをしめてシンジのベッドに腰掛けるカナミ。ふと、シンジの机に目をやる。
「あ・・・昔のアルバム?懐かしいね〜。どれどれ〜?」
カナミはシンジの机に近づくとそのままアルバムをペラペラとめくりだし、所々で思い出し笑いをしていた。
「私とお兄ちゃん・・・いつも一緒だったよね。何をするにもさ。」
「ん?そうだな。もっとも・・・お前がいつも俺の後ろにくっついてたんだけどな。」
ハハハと笑うシンジ。カナミは昔から典型的なお兄ちゃんっ子だった。
「うん。何だかね、お兄ちゃんの側が一番心地よかったんだと思う。一番安心できるって言うのかな。
ほら、ウチのお父さんとお母さんは多忙だったからね。」
今でも兄妹に家を任せっきりで夫婦揃って仕事に忙しい城島夫婦。ある程度頻繁に電話はかかってくる
ものの、家に帰ってくることは滅多になかった。シンジとカナミが子供の頃からそうだったのもあるんだろう。
カナミにとって一番頼れる人は今も昔もシンジだけなのだ。
「あ・・・この写真マナカちゃんもいるね。こうやってみるとマナカちゃん・・・そんなに長くはここに居なかったんだね。」
アルバムにマナカが写っている写真はそんなに多くない。子供の頃だから記憶は曖昧だが実際黒田家は
そんなに長くこの街にいなかったんだろう。それでも、カナミとマナカの仲のよさは有名で二人で歩いていると
姉妹に思われることも珍しくは無かった。
「これマナカちゃんが引っ越すときの・・・そっか・・・こんな時もあったんだね・・・」
シンジが一瞬ピクリと反応する。できればカナミには気づいて欲しくなかったのかもしれない。
カナミの一番の親友と性交をした原因の写真だ。シンジがそんな事を考えているとふいにカナミがシンジの
膝にのって顔を近づけてきた。急な妹の行動に顔を紅く染めるシンジ。こんな近くでカナミを見たのは
相当に久しぶりだ。妹ながら可愛いな、とシンジは思う。
「ねぇお兄ちゃん・・・誓った?」
「な・・・何のこと・・・」
「嘘はやだよ・・・教えて・・・マナカちゃんと誓った?」
真剣の瞳がシンジを刺す。シンジはその瞳に圧されてかコクンと頷いた。
「そっか・・・やっぱりマナカちゃんとエッチしたんだ。マナカちゃん抱きしめたときイカ臭かったもん・・・」
そんな理由でシンジとマナカの情事を悟ったのだろうか。しかし、ある意味決定的な証拠でもある。
「あ〜、いや、そのだなカナミ・・・俺は・・・んん!?」
何か弁明をしようとしていたシンジの口をカナミが唇で塞ぐ。カナミの腕はそのままシンジの頭部に回されて
シンジは動くことが出来なかった。長いような短いようなキスを経てカナミはシンジに言った。
「ん・・・お兄ちゃん・・・私とも・・・エッチしよう?」



カナミの言葉にシンジの頭は混乱を極める。何を言ってるんだ?マイシスターは?
「ばっ・・・お前何言って・・・」
「だから・・・私とエッチしようって。お兄ちゃん私の事嫌い?」
私は何もおかしいこと言ってませんが何か?って感じでシンジの顔を覗き込むカナミ。
「いや、嫌いじゃないけど・・・お前、俺たちは兄妹でだな!?その、あれだ。とにかくダメだろ?」
シンジは手を意味不明に動かしながらもカナミの申し出を拒否する。
「何でダメなの?」
「え・・・だから何でって・・・その・・・ほ、法律とかか?そう、近親相姦だ!」
そう、近親相姦。身内との性交の事である。概念的に禁忌の感じはする。しかし・・・・だ。
「お兄ちゃん知らないんだね。近親相姦は言い方は悪いけど何も問題はないんだよ?」
へ?って感じの顔をするシンジ。説明を続けるカナミ。
「日本で禁止されてるのは3親等内の近親婚だけだよ。しかも、禁止と言っても婚姻届が受理されないだけ。
知ってる?兄妹でエッチして子供できても何の問題もないんだよ。そりゃあ遺伝的とか生物学上は
血が濃くなると色々いけないらしいけど・・・生まれた子は非嫡出子になるんだって。」
シンジが口をパクパクさせる。知らなかった・・・一般的に近親相姦って言葉はタブーだったり禁忌だ。
しかしだ・・・よぅ漢字の意味を取ればカナミの言うとおりかもしれない。近親は近い身内。相姦の相は
お互いの合意って事か。姦は強姦とかでイメージは悪いがつまりはするって事か?
ただ、シンジがそれで納得したわけではなかった。自分たちは血の繋がった兄妹だ。社会的道理から
外れることだ。
「それでも・・・・俺たちは兄妹だろ!?だから・・・できないよ。」
シンジはカナミの肩を掴みながら言う。するとカナミは顔を俯かせて小さな声で言った。
「そっか・・・お兄ちゃん知らないんだね・・・・そうだよね。私だって偶然見つけたんだから。」
何だか神妙そうな顔をするカナミ。するとカナミはとんでもない事を言い出した。
「私・・・養女なんだ・・・貰われた子なんだよ・・・」
シンジは目を見開く。そんなはずはない!そんなはずはない!でも・・・あまりに昔のことだからだろうか・・・
シンジにはカナミが生まれた時の記憶はなかった。正直な所いつのまにか家に居たって感じである。
「そ・・・んな・・・馬鹿な・・・そんな話聞いたこと・・・」
「私も信じられなかったよ・・・でもね?納得もしちゃうんだ。本当の兄妹じゃないから・・・きっとこんなに
お兄ちゃんの事好きなんだろうなって。」
カナミがエヘへと笑う。ただ、その笑顔が可愛くて、儚くて、壊れてしまいそうだった。
「カナミ・・・・」
シンジにはカナミにかける言葉がなかった。ただ、その肩を掴んでいるだけだ。
「お兄ちゃん・・・大好きだよ。小さな頃からずっとずうっと・・・マナカちゃんより前から・・・」
カナミが呆然としているシンジにキスをする。
「ほら・・・私もう大人の女だよ、お兄ちゃん・・・」
カナミはシンジの膝に乗っかったまま上着とブラを脱ぎ捨てた。カナミの白い肌、か細い腰、発展途上の胸。
その全てがシンジの瞳に写る。徐々にカナミの肩を握るシンジの力が強くなっていく。
「お兄ちゃんとずっと一緒にいるのが私の夢だったんだ・・・だから、その夢叶えたいの・・・
お兄ちゃん・・・抱いて・・・下さい・・・」
「っ・・・・カナミ!!」



シンジを抑えていた理性は完全に弾き飛んでしまった。膝に乗っていたカナミをベッドに押し倒すとカナミの胸に
むしゃぶりついた。少し乱暴に、その反面優しくカナミの胸を愛撫する。
「ひゃう・・・ん・・・ぁん・・・えへへ・・・お兄ちゃん・・・赤ちゃんみたいだよ・・・」
カナミは胸に顔をうずめるシンジの頭を愛しいように抱きしめる。シンジはカナミの乳首をチュプチュパと
音を立てながら吸い上げる。するとカナミの体もそれに呼応するように浮き上がった。
「んん・・・マナカちゃんとエッチして・・・・要領得たのかな・・・?」
少し意地悪をするカナミ。彼女は少し困った兄の顔をみるのが好きなのかもしれない。
「したって言っても・・・あの時だけだぞ?しかも、あん時も今みたいに訳わかんなかったし・・・」
シンジは手でカナミの胸を揉みしだきながらカナミのお腹を下で嘗め回す。
「ふふ、そっかぁ・・・はぁん・・・おにいちゃぁん・・・・そこ・・ん・・・」
ニコニコしながら体をピクリと跳ねさせるカナミ。シンジはすでにカナミのスカートを捲りショーツ越しに
カナミのヴァギナを刺激していた。カナミがオナニー慣れをしているせいか、マナカの時よりも体が反応して
愛液を流すのが早かった気がした。
「ひゃあ・・・ん・・・私もおにいちゃんの・・・ん・・はぁ・・・してあげる・・・ん・・・」
シンジは横になってカナミのショーツを脱がしカナミのヴァギナを直に刺激する。カナミのそこからあふれ出る
愛液はシンジの指に絡みつき光を反射していた。一方カナミもシンジが下のほうにご執着しているおかげで
体が自由に動かせるようになり、同じように横になってシンジのジーンズのファスナーを下ろした。
そこには所狭しと膨張したシンジのペニスが出番を今かと待ち望んでいた。
「ん・・・お兄ちゃんの・・・おっきい・・・今気持ちよく・・・あん・・・してあげる・・・むぐ・・ん・・」
カナミはシンジのペニスをトランクスから開放してやるとそのまま口に含んだ。
そのせいかシンジの背筋にも快感が走る。
「ジュプ・・ちゅぷ・・むぐ・・・ん・・・気持ちいい・・・お兄ちゃん・・?」
カナミが軽快なリズムで音を立てながらシンジのペニスを刺激する。カナミの唾液でぬっとりと濡れたシンジの
ペニスは何ともいえない妖艶さをかもし出していた。
「く・・・気持ちいい・・・お前は・・・どうだ・・?」
シンジはカナミのヴァギナに舌を入れて中をかき回す。カナミの中の肉ヒダと液がシンジの舌を絡める。
指は割れ目の少し上の豆をクリクリと刺激してやる。そのたびにカナミの体が跳ねるのが分かる。
「ああぁん!!ん・・・はぅ・・・いい・・よぉ・・・お兄ちゃん・・・ん・・・気持ちいい・・はんん・・」
シンジとカナミの息遣いが荒くなりお互いの体から汗が吹き出てくる。カナミがシンジの内腿についた
汗を舐め取る。それは酸っぱく塩辛かった。思わずカナミは目を細める。
「ん・・・お兄ちゃん・・・いいよ・・・入れて・・・欲しいな。」



カナミはシンジのペニスを口から離すと懇願した。シンジはそのままカナミを寝かせると・・・・気づく。
「あ・・・ゴム・・・」
「ふふ・・・はい、お兄ちゃん。」
カナミがスッとコンドームをシンジに差し出す。シンジはそれを受け取ると袋からコンドームを取り出し装着
しようとする。
「よ・・っと・・・あれ・・あ、こうか?結構難しい・・・よ・・・こうか!?」
しばらく四苦八苦しながらも何とかゴムを装着したシンジ。再びカナミの入り口にペニスをあてがう。
「カナミ・・・痛かったら言えよ?俺から入れるのは初めてだからさ。」
そう言って少し腰を前に入れる。ビッとした感じの感覚がペニスに伝わる。
「っづ・・・ん・・・だいじょ・・・ぶ・・・もうちょ・・・と・・」
カナミはぐっと目を閉じて涙を堪えながらシンジを受け入れようとする。
「く・・・こうか・・・大丈夫か・・・ごめんな。俺入れるの初めてだからさ・・・」
シンジがゆっくり腰を推し進めカナミの腰とぶつかろうとする。しかし、それを阻む堅固な門。
「あう!・・・え・・・?マナカ・・・ちゃん・・と・・づ・・はぁ?」
少しずつだが、カナミの中に入っていくシンジのペニス。
「ああ・・・情けないけどさ。俺どうしても入れれなくて・・・マナカちゃんが上に乗って・・・さ。」
ポリポリと頬をかくシンジ。もう少し、あと少しで全部入る。
「そう・・なん・・・だぁああああ!!っつ・・・はい・・・った・・・?」
カナミが荒い息遣いしながら自分の股間を見る。そこには完全にカナミの中にペニスが入った光景があった。
「ああ・・・入った・・・大丈夫・・・だったか?」
シンジがカナミの目尻にたまった涙をぬぐってやる。カナミは嬉しそうな顔で言った。
「えへへ・・・私はお兄ちゃんが初めて自分で処女を奪った娘だね。」
「う・・・まぁ、マナカちゃんのは俺が奪ったとは言えないって事か?」
「うん・・・マナカちゃんはお兄ちゃんの初めての相手。私はお兄ちゃんに奪われて初めての子♪
下らない事って思うかもだけど・・・女の子にとって『初めて』は大事なんだよ。」
そう言ってカナミはシンジに微笑みかけた。シンジもそれに納得したようにカナミの腰に手を当てると
ゆっくり腰を動かし始めた。
「はぁ・・ん・・・すご・・・あん・・・・ちょっと痛いけど・・・ん・・・はぁ・・・」
ベッドがギシギシと音を立てる。カナミは快楽と苦痛の狭間を彷徨っているようだ。
「ん・・・キツイから・・・すぐイキそ・・・はぁ・・はぁ・・」
シンジはカナミを気遣ってゆっくり腰を動かしているが、すでに興奮絶頂に近いようだ。
「はぁ・・んんん・・・いいよ、お兄ちゃん・・・いつでも・・・はぁ・・・イッテ・・・ん・・」
ベッドは尚もギシギシと音を立てる。単調に腰を打ち付けるだけのセックスだが、カナミには
それが何よりも心地よかった。大好きなシンジと今自分は一つになっている。シンジに・・・『嘘』を
ついてまで果たしたかった自分の幸せ。この『嘘』がばれたら自分はどうなるんだろう。
やっぱり嫌われてしまうんだろうか・・・でも・・・でも何を犠牲にしてでも果たしたかった。
「く・・・カナミ!カナミ!俺もう・・・うぁ、イク!!!」
シンジの腰の動きが早まる。
「ん・・いいよ・・・お兄ちゃん・・・きて・・・きてええ!!!」
だって・・・小さな頃から・・・ずっとずうっと・・・好きだったんだから・・・




情事を終えた二人は裸でシンジのベッドに寝転がっていた。またも勢いでカナミとセックスをしたシンジ。
そしてシンジを求めた本人のカナミですらどこか気まずい空気を出していた。
プルルルルルルルル プルルルルルルルル プルルルルルルルル
ふと、家の電話がなる。シンジとカナミの部屋。そして、リビングに備え付けてある家の電話機。
「はい、城島です・・・ああ、母さんか。元気だよ?・・・・うん・・・・うん・・・・」
どうやら電話の主は城島夫妻のようだった。どうやらいつもの近況報告のようだ。
「うん、大丈夫だよ。カナミも元気だし・・・あ・・・そういえばさ。一つ聞きたいんだけど・・・」
シンジの言葉にビクッとするカナミ。何てタイミングなんだろう・・・シンジが聞きたいこと・・・・
「俺とカナミってさ・・・血繋がってるよな・・・・うん、いや、何となくさ。そうだよな。
俺たち兄妹だしな。うん、いや、変な事聞いて悪かった。うん、気をつけてナ。」
ピッと子機の電源を切るとカナミを見つめるシンジ。カナミは悪さがばれた子供のように
体を小さく縮めて体育座りをしていた。
「カナミ・・・お前さ・・・何でだ?」
カナミを問い詰めるシンジ。当然といえば当然なのだが・・・シンジとカナミは血の繋がった実の兄妹だった。
「だって・・・」
体を小さくしたカナミがポツリと言う。カナミが顔を上げるとすでにその顔は涙に濡れていた。
「だって・・・私本気でお兄ちゃんが好きなんだもん・・・マナカちゃんに取られたくなかったんだもん。」
ぐっと涙を堪えようとするがカナミの目からは涙が止まる様子はない。
「好きなんだもん。大好きだもん・・・ずっとお兄ちゃんと一緒にいたいよ・・・ぐす・・・」
ついに本格的に泣き出してしまったカナミ。手を目にやりエッエッと泣くカナミ。
そんなカナミにシンジは怒る事もなく、ただ・・・ただ何故かカナミの頭を撫でてやり抱きしめていた。
「ぐす・・・おにい・・・ちゃん・・・?」
「やれやれ・・・お前は大人になっても泣き虫だな・・・俺がいないとピーピー泣いてさ。」
小さい頃、シンジにべったりだとシンジが居なくなるといつも泣いていた。そんな時いつもシンジはこうして
カナミを抱きしめてあやしていたのである。
「ぐす・・うん・・・私泣き虫で甘えん坊だよ・・・お兄ちゃんがいないと・・・ダメなんだよ。」
カナミがぎゅっとシンジを抱きしめる。
「でもよ、結婚はできないぞ?近親相姦は分かったけど、近親婚は禁止なんだろ?」
シンジはカナミの髪を手櫛でときながら言う。するとカナミは顔を上げて言う。
「えへ、それは大丈夫だよ♪お兄ちゃんがマナカちゃんと結婚して、私も一緒に住めばいいんだから。
よかったね、お兄ちゃん。私とは婚姻届がないだけで事実婚だよ。」
ニパっと一転微笑むカナミ。もしかしたら壮大に嵌められたんでは・・・・
「私もマナカちゃんもお兄ちゃん以外と一緒にいるつもりないから。責任とってね、お兄ちゃん♪」
カナミはそう言うと最高の笑顔でシンジにキスをした。
大変な事を言われた。それは社会的にはタブーに近い事だろう。ある意味重婚にある意味近親婚。
法律の隙間を縫っている感じだ。社会には蔑まれた目で見られるかもしれない。でも・・・
でも、そんな未来も悪くないかもな・・・シンジはカナミを抱きしめながらそう思っていた。

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